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2010-05-09

トゥレット症候群の治療に役立ちそうな珍しい遺伝子変異の発見

ついったーで拾った、MedicalNewsTodayの記事。
Discovery Of Rare Genetic Mutation Could Help Battle Tourette Syndrome

Article Date: 07 May 2010 - 6:00 PDT
Citation: N Engl J Med 2010. DOI: 10.1056/NEJMoa0907006 (Online May 5, 2010, In print May 20, 2010)
Source: Karen N.Peart, Yale University

 トゥレット症候群を抱える非常に珍しい一家系で、エール大学医学部の研究者がヒスタミンの生成を引き起こす遺伝子の珍しい変異を確認した。この発見は、脳におけるヒスタミンの役割についての長年のデータを理解する上で新しい枠組みを提供する。また、チックとトゥレット症候群の治療の新しい方法の可能性を示している。
 この研究はThe New England Journal of Medicineのオンライン版に掲載された。著者はエール大学Child Study Centerと精神医学・遺伝学科のDonald J. Cohen准教授でエール大学神経遺伝学プログラムの共同責任者であるMatthew State博士が率いる研究チームである。
 トゥレット症候群は比較的よくある神経障害で、その特徴はチック(不随意で急速、突然の運動や発声が繰り返し起きること)である。合衆国では1000人に3人〜100人に1人の人に見られる。チックは幼児期中盤に始まり、思春期の始まり頃にピークに達する。トゥレット症候群は、命に別状はないが、能力を阻害する可能性がある。患者は一般的に、ADHD、強迫性障害、抑うつなどの精神神経科的な障害を併せ持っている。
 トゥレット症候群が遺伝と関係しているという強力な証拠に基づいて、State博士の研究室では10年以上にわたってトゥレット症候群を引き起こす遺伝子のまれな変異を探し続けて、この障害の原因についての理解を深めようと、そしてより効果的な治療法を探ろうとしてきた。「稀少家系は、他のさまざまな一般的条件における病気の基礎的な仕組みを特定するため、そして治療の新たな方法を発見するために研究されてきた」と、第一著者であるエール大学ポストドクトラル・フェローのAdife Gulhan Ercan-Sencicekは述べている。「我々は、トゥレット症候群でも同じ方法が使えると考えた」
 State博士の研究チームは、あるトゥレット症候群の家系で1-ヒシチジンデカルボキシラーゼ(HDC)という遺伝子に珍しい変異があることを見いだした。この遺伝子はヒスタミンの生産に必要なタンパク質を作る。ヒスタミンはアレルギー反応に関わっていることでよく知られているが、さまざまな脳の機能を左右する重要な神経伝達物質である。
 父親と8人の子ども全員が、トゥレット症候群と診断された。母親とその家系にはこの障害を持つ者はいなかった。子ども2人と父親には強迫性障害もあった。State博士の研究室では、家族全員から採取したDNA試料からトゥレット症候群の人全員が共有する染色体の一領域を発見し、そこでHDC遺伝子の珍しい変異を確認した。この変異によって、作られるタンパク質はその機能を失ってまう。
 Stateによると、過去に他の研究室でおこなわれた脳ヒスタミンの研究では、ヒスタミンが少ないマウスは人間のチックに似た反復的行動の傾向が強くなり、脳ヒスタミンが多くなるとこの問題が減少することが示されているという。
 「珍しい遺伝子の発見が精神神経科的障害の新しい治療に直結することは滅多にない」とStateは述べている。「たまたま神経科学でよく調べられている領域で遺伝子を見つけたのは幸運だった。脳ヒスタミンの放出を増やすいくつかの新薬が現在開発中である。この遺伝学的な発見によって、その薬品はトゥレット症候群の新しい治療の有力な候補になるかもしれない」
 この研究の他の著者には、エール大学のAlthea Stillman、Ananda Ghosh、Kaya Bilguvar博士、Thomas Abbott、Abha Gupta博士、Robert King博士、Erin Loring、Katsuhito Yasuno、Thomas Fernandez博士、Stephan Sanders博士、Angeliki Louvi、Judy Cho博士、Shrikant Mane、Christopher Colangelo、Thomas Biederer、Richartd Lifton博士、Murat Gunel博士が含まれている。

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別訳発見。たぶんもとをたどればソースは同じでしょう。
http://mui-therapy.org/newfinding/tourette-genetic-mutation.html

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このブログのライター


  • 北海道地方の大学教員