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2010-06-25

赤ちゃんは数、空間、時間の概念を理解している

ついったーで拾ったScience Dailyの記事。動物も量の多い、少ないを判断できるという研究結果もあるようだから、ある種の生得性は想定できるような気はする。それが算数障害と関わっているとまで言っていいのかどうかは保留。

Babies Grasp Number, Space and Time Concepts

 まだしゃべることのできない赤ちゃんでさえ、数、空間、時間についての情報をこれまで考えられていたよりも複雑な方法で組織化している。これが、エモリー大学(Emory University)の心理学者ステラ・ローレンコの研究結果である。
 「私たちは9か月児がものの数、大きさ、時間の長さの、多い、少ないということに敏感であることを示した。注目すべきは、赤ん坊にとっては、これらの量的概念の一つを経験するだけで、他の量がどんなふうに見えるかを推測するのに十分であるということだ」とローレンコは言う。
 ローレンコのこの研究は、ロンドン大学(University College London)の神経学者マシュー・ロンゴ(Matthew Longo)と共同でおこなわれ、Psychological Science誌の次号に掲載されることになっている。
 1890年の名著「心理学の諸原理(The Principles of Psychology)」の中で、ウイリアム・ジェイムズ(William James)は、赤ちゃんが世界を「花盛りでガヤガヤした一つの巨大な混沌(one great blooming, buzzing confusion)」として受け取っていると描写した。
 証拠が蓄積されるにつれ、この長く信じられてきた理論が覆されつつある。
 「私たちの発見は、人間が生後数か月のときから世界についての経験を組織化するために量的情報を使っているということを示している」とローレンコは述べる。「量は、ものがどのようにふるまうかを予測するのに非常に強力な道具らしい」
 ローレンコは空間知覚の発達と、それが数的処理や時間の知覚といった他の認知的側面と結びついているかに注目した。以前の研究では、これらの異なる認知領域が神経レベルで深く結びついていることが示唆されている。大人で調べてみると、たとえば少ない数と空間の左側、大きい数と右側を結びつけているということがわかっている。
 この現象について「まるで頭の中で誰かが仕分けしているようだ」とローレンコはいう。
 別の研究から、大人が二つの数のうち大きい方を素早く選ぶよう求められたとき、大きい数が小さな数よりも小さい文字で提示されると、この課題がより難しくなるということがわかっている。
 ローレンコは、私たちの脳が繰り返される経験と言語連想を通すだけで統計的な規則性を理解しているのかどうか、大きさについての一般的なシステムがごく幼いうちから現れてくるのかどうか、ということを調べようとした。
 彼女らはコンピュータ画面上で物体の集まりを9か月児に見せる実験をおこなった。「赤ちゃんは何か目新しいものがあるとじっと見つめる」とローレンコは説明する。「そして、私たちは、赤ちゃんがどのくらいの時間そのものを見つめるかを調べることで、赤ちゃんの情報処理のやり方を理解する」
 赤ちゃんには、大きなものは黒のシマシマの画像で、小さなものは白の点々の画像で提示した。そして同じ色とパターンの図で数の多さと凝視時間の長さを比較した。たとえば、より多数のものが白い点で提示されると、そのものが黒いシマシマで提示されるよりも赤ちゃんは長い時間見つめていた。
 「赤ちゃんが長い時間見たのは、一致が破られたことに驚いたことの表れだろう」とローレンコはいう。「赤ちゃんはこれらの異なる要素がこの世界で相関していると期待しているように見える」
 この結果は、人間が大きさを扱う一般的なシステムを持って生まれてくるのかもしれないということを示唆している。「もし生まれたときにこのシステムを持っていなかったのなら、これは大変に素早く発達したということになる」とローレンコは述べている。「いずれにしても、私たちが世界を理解するために量的情報を使うやり方は驚異的だと思う」
 ローレンコは最近ジョン・メルク基金(John Merck Fund)から30万ドルの補助を受けた。これは、発達障害に関わる認知科学・生物科学の若い研究者を対象にしているものである。彼女はこの資金を使って、量的情報を扱うこのシステムがどのように発達するかを、健常者と算数障害(失読症の算数版)のような非典型的な人を対象にしてさらに研究しようとしている。
 「失読症は過去20年間非常に注目を集めてきた」とローレンコは言う。「しかし、この世界で技術が発展して、アメリカの学生が算数で他の国に遅れをとるようになっていることを考えるなら、数、空間、時間について検討する必要性にもっと注意を向ける必要がある。私は算数障害の根本的な原因を調べて、量的推論に困難を持つ子どもたちをどのように指導するかを明らかにしたい」。

Journal Reference:

1. Stella F. Lourenco, Matthew R. Longo. General Magnitude Representation in Human Infants. Psychological Science, 2010; DOI: 10.1177/0956797610370158

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このブログのライター

  • (た)
    北海道地方の大学教員