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2016-04-12

幼児の問題行動は「老化」バイオマーカーとつながっているかもしれない

Twitterで拾ったPsyPostの記事。
Early behavior problems may be linked to ‘aging’ biomarkers in preschoolers


元ネタはWojcick, et.al. "Telomere length is associated with oppositional defiant behavior and maternal clinical depression in Lation preschool children"

幼児の反抗挑戦行動と白血球のテロメアの短さに関係がある,という研究。テロメアが短いと行動上の問題が起きる,というような直接的なつながりが示せているわけではない。母親のうつ病と子どものテロメアの短さの関係も言っているが,一方で子どもと母親の両方のテロメアが短いという話もあったりして,いろいろ絡み合っているものの簡単な因果関係では言えそうにはない。

 反抗挑戦行動を示す幼児はテロメアが短い可能性がある。短いテロメアは細胞老化の特徴で,大人においては慢性疾患,糖尿病,肥満,ガンといった状態のリスクの増大と関連している。
 この現象はカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究者によって発見された。この研究者は,母親のうつ病が幼い子どもの短いテロメアの独立予測因子であることもつきとめた。研究は火曜日に発行されたTranslational Psychiatry誌に掲載されている。

(訳注:元論文の記事には「2015年6月16日オンライン版発行」の記述があり,「火曜日」は1年くらい前のことらしい)。

 靴ひもの先端部のプラスチックのようにテロメアは染色体の末端についていて,細胞分裂の際にタンパク質をコードするDNAの損失をやわらげるはたらきをする。テロメアは加齢とともに自然と短くなるが,心理的,生物学的なストレスによってより早く短くなることが研究で示されている。
「これは,子どものテロメアが早期に決まることを理解しようとする新しい研究分野における第一歩です。誕生から成人するまでのテロメアの長さの変化を調べた研究はまだないので,その長期的な影響はわかりません」と筆頭著者のUCSF小児科学科准教授ジャネット・ウォイッキ(Janet Wojcicki)博士は語った。「しかし成人では短いテロメアは多くの病気の発症を予測するし,子ども時代からテロメアが短ければそれは一生続くと思えます」
 ウォイッキらはサンフランシスコの2つの病院で出生時に募集した低所得のラテン系の家庭の比較的均質な4歳(108人)と5歳(92人)の子どもたちの白血球細胞でテロメアの長さを測定した。5歳児のほとんどは4歳の時にも検査された子どもである。
 研究者はまた母親のテロメアも調べ,出生前後の母親の抑うつと,子どもの3,4,5歳時の行動障害についてもスクリーニングをおこなった。行動障害には敵意,いらいら,権威に従うことを拒むなどの行動で特徴づけられる反抗挑戦行動が含まれている。
 3歳のときに母親がうつ病だった子どもたちは,4歳,5歳で調べられたときに,うつ病のなかった母親の子どもたちよりもテロメアが短いことが分かった。しかし,出生前や誕生後1年間の大うつ病,より軽いうつ症状は,子どものテロメアの長さと関係がなかった。
 大人と子どもの短いテロメアが,幼児期のトラウマ,暴力にさらされること,不適切な養育や養育の剥奪と相関していることを示す研究は増えている。
「現在,幼児期に健全なテロメアを形成し維持を促進する無数の要因に関しては,わかっていることよりもわからないことのほうがはるかに多いのです。私たちは健康を次の世代に伝えることについての小さな手かがりを捕まえられたのかもしれません」と話すのは,UCSF小児科学科の共著者エリッサ・イペル(Elissa Epel)博士である。
 研究者によれば,3,4,5歳で反抗挑戦行動を持つ子どもたちでは,テロメアの短さの一部は母親のうつ病の影響であると言えるかもしれない。さらに,テロメアの短い子どもたちは母親もテロメアが短いことがわかった。これは遺伝学と家族のストレスの双方と結びつけられる,とウォイッキは言う。
 この研究は母親のうつが子どもの身体的健康や行動に長期的な影響を与えるかもしれないことを示す膨大な文献に加わるものだが,それが子どもの細胞の老化に与える影響を把握するにはさらなる研究が必要だ,とこの研究の著者は述べている。
「これらの発見は,子どもの行動上の問題に対して早期に介入することが,母親のうつの治療と同様に重要であることを強調するものです」とウォイッキは言う。「長期的な研究が必要ですが,私たちの結果は母親の精神保健上の問題と子どもの行動上の問題が細胞レベルで子どもに影響しうることを示唆しています」

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  • 北海道地方の大学教員