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2016-09-04

赤ちゃんシミュレータ・プログラムが10代の妊娠を防ぐ効果

Efficacy of infant simulator programmes to prevent teenage pregnancy: a school-based cluster randomised controlled trial in Western Australia
By Dr Sally A Brinkman, PhD, Sarah E Johnson, PhD, Prof James P Codde, PhD, Michael B Hart, FAFPHM, Judith A Straton, MD, Murthy N Mittinty, PhD, Prof Sven R Silburn, MSc

Bilingual NewsでMamiが取り上げていたニュースの元ネタ(Lancetの論文)のサマリー。日本語による記事はGigazineにも「10代の妊娠を防ぐための「赤ゃんロボット」が妊娠を促す効果をもたらす」というタイトルで出ている。

赤ちゃんシミュレータが妊娠・出産を増やす効果があるのなら,若年妊娠・出産のリスクのある中高生ではなく,18歳以上の人に赤ちゃんロボットを体験してもらえばいいのだろうか。もちろん男子も対象に。

赤ちゃんシミュレータ・プログラムが10代の妊娠を防ぐ効果:西オーストラリアの学校におけるクラスター無作為化比較試験

研究の背景
赤ちゃんシミュレータを使って10代の妊娠を防止することを目指すプログラムは,高所得国に加えて中低所得の国々でも使われているが,高まる人気にかかわらず,その長期的な効果についての証拠を示す研究はなかった。この研究の目的は,オーストラリアにおいて仮想赤ちゃん子育て(Virtual Infant Parenting, VIP)プログラムのようなものが妊娠,出生,人工妊娠中絶の動向に及ぼす効果を調べることである。

研究方法
この実際的なクラスター無作為化比較試験では,西オーストラリア州パースの適当な学校を無作為に介入群と対照群に半々に割り当てた。ブロック化,層化,マッチングをおこなわずに乱数表を用いて,研究者が学校名を伏せた状態で無作為に割り付けた。2003年から2006年にかけて,VIPプログラムが介入群の学校の13〜15歳の女生徒に適用され,対照群の学校の同年齢の女生徒たちは標準的な健康教育課程を受けた。病院における医療と中絶クリニックの記録と結び付けられたデータが,参加者が20歳になるまでの間追跡された。主として10代のうちに妊娠が生じた場合に追跡を終了した。二項検定とCox比例ハザード回帰を使って各群間の妊娠率の差を検定した。この研究は国際無作為化比較試験に登録している(ISRCTN24952438)。

研究結果
対象の66校のうち57校(86%)が研究に参加し,無作為に半々に,介入群(28校)と対照群(29校)とに割り振られた。2003年2月1日から2006年5月31日までの間,介入群の学校の1267名の女生徒はVIPプログラムを受け,対照群の学校の1567名の女生徒は標準的な健康教育課程を受けた。対照群の女生徒と比較して,介入群の女生徒で割合が高かったのは,1回以上出産の記録がある(介入群の1267名中97名(8%)に対して対照群の1567名中67名(4%)),最初の妊娠イベントとして1回以上の妊娠中絶の記録がある(113名(9%)に対し101名(6%))ということである。潜在的交絡因子の調整をしても,介入群は対照群よりも全般的な妊娠リスクが高かった(相対危険度1.36 [95% CI 1.10-1.67], p=0.003)。同様の結果は,比例ハザードモデルを用いた場合にも見られた(ハザード比1.35 [95% Cl 1.10-1.67], p=0.016)。

結果の解釈
赤ちゃんシミュレータを使ったVIPプログラムは10代の妊娠を減らす目的を達成できなかった。介入群の女生徒たちは対照群よりもより多く,20歳以前の出産や人工妊娠中絶を経験しているようだった。

研究資金
西オーストラリア州健康増進研究財団(Healthway),西オーストラリア宝くじ,西オーストラリア州教育訓練局,西オーストラリア州保健局。

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  • 北海道地方の大学教員